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世界文化遺産国内暫定一覧表への追加提案書の再提出について

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年9月16日更新

 世界文化遺産国内暫定一覧表への追加のため、標記提案書2件を平成19年12月21日、文化庁に再提出したので、その概要を下記のとおりお知らせします。

萩市城下町▼萩市・山口市・防府市・山口県の提案

(1)提案の名称

「萩-日本の近世社会を切り拓いた城下町の顕著な都市遺産」
(※前回提案名称:萩城・城下町と明治維新関連遺跡群)

(2)提案の特徴

  1. 標高143メートルの指月山を天然の要害に見立てて城郭を配置し、また三角州の微地形を利用した土地利用を行うなど、萩城下町は近世の計画都市として傑出した事例である。
  2. 鉄道が三角州の周縁部に迂回して敷設されたこと等から、近代以降も城下町としての基本構造は変わらなかったため、現在も萩城下町に由来する街路や水路がほぼ完全な形で残っている。
  3. 城下町の構成要素となる文化財については、未指定のものも積極的に取り入れた。また、萩城下町全体をひとつの文化的景観と考え、ゾーニングを行った。

(3)提案のコンセプト

  1. 日本の城下町は、中世の封建社会を通して日本が独自に育んだ都市要素を結集・再編することによって一挙に成立した計画都市であり、中国都城と並ぶ東アジアの代表的な都市類型である。
  2. 特に慶長期に建設された城下町にその特徴が表れており、この代表が萩城下町である。
  3. 萩城下町には自然地形を読み取りつつ計画的に施された町割や土地利用が継承され、その上に町家や武家屋敷などの建築物が良好に遺存している。また、これらの保存と維持を可能にした社会組織や技術、祭礼なども伝承され、その裏づけとなる古文書、美術工芸品等も継承されている。
  4. 萩城下町は、こうした有形・無形の遺産群が織り成す総合的な価値の体系であり、城下町の典型的な空間や景観、生活文化を顕示する都市遺産として顕著な普遍的価値を持っている。

(4)資産に含まれる文化財

 国指定史跡である萩城跡をはじめ、萩城城下町、京都に次ぐ市内3ヵ所の重要伝統的建造物群保存地区及び旧萩藩校明倫館等に加え、城下町形成に不可欠な文化財未指定の川やエリアを盛り込んだ総資産数77件で構成。(前回提案時は54件) 
■総資産数77件(うち国指定・選定28件、県指定4件、市指定23件、未指定22件)

(5)ゾーニング

  1. コアゾーン(推薦資産)
     幕末の代表的な絵図において城下町の都市空間として描かれている範囲(三角州+椿町・金谷・雑式町。湿地帯を除く。)と大照院・東光寺をコアゾーンとした。
  2. バッファゾーン(緩衝地帯)
     当時、垰内と呼ばれていた範囲をバッファゾーンの範囲とした。
    このうち、橋本川・松本川や湿地帯など水辺の範囲をバッファゾーンA(歴史的緩衝区域)とし、橋本川、松本川の外側から垰内の範囲をバッファゾーンB(景観保全区域)とした。

●前回の提案からの主な変更点

  1. コンセプトから明治維新を外し、萩城下町に限定した提案とした。
  2. 日本における城下町の世界史的位置付けを記述した。
  3. 文化的景観として武家地、町人地、百姓地、寺社地、水路等を資産とした。
  4. 萩往還を資産としたことから、山口市・防府市との共同提案となった。

●前回の提案の概要

萩城・城下町は萩城跡を中心として開府以来400年の時を経た今もなお町割をよくとどめ、かつ往時の建築物が面として残る貴重な都市遺産である。また、幕末期、藩校明倫館や松下村塾における海外を視野に入れた教育により、近代日本の礎を築いた幾多の人材を輩出し、アジアの中でいち早く近代化を成し遂げた明治維新胎動の地となった。

世界文化遺産国内暫定一覧表への追加提案書   【一括】世界文化遺産国内暫定一覧表への追加提案書(pdf形式:9.15MB)   【分割】表紙(pdf形式:284KB) 【分割】目次(pdf形式:20KB) 【分割】(1)提案のコンセプト(pdf形式:3.45MB) 【分割】(2)資産に含まれる文化財(pdf形式:6.82MB) 【分割】(3)保存管理計画(pdf形式:3.6MB) 【分割】(4)世界遺産の登録基準への該当性(pdf形式:304KB) 検討状況報告書   【一括】検討状況報告書(pdf形式:2.54MB)   【分割】表紙(pdf形式:296KB) 【分割】目次(pdf形式:44KB) 【分割】はじめに(pdf形式:68KB) 【分割】文化庁からの課題への回答(pdf形式:368KB) 【分割】参考資料(pdf形式:2.8MB)

▼萩市外6県10市の提案

(1)提案者

萩市、鹿児島県、鹿児島市、福岡県、北九州市、大牟田市、飯塚市、田川市、佐賀県、唐津市、長崎県、長崎市、熊本県、荒尾市、宇城市、山口県、下関市

(2)提案の名称

「九州・山口の近代化産業遺産群―非西洋世界における近代化の先駆け」
(※前回提案名称:九州・山口の近代化産業遺産群)

(3)提案の特徴

  1. 日本初の本格的なシリアル・ノミネーションによる提案である。
  2. 九州・山口の近代化産業遺産群が、日本が西洋世界を除く地域で初めて、短期間のうちに産業革命を果たす原動力になったことを、この提案により示した。
  3. 主に重工業に主眼を置いた提案であり、類似遺産として既に世界文化遺産国内暫定一覧表に記載されている「富岡製糸場と絹産業遺産群」は軽工業主体であることから、区別が可能である。

(4)提案のコンセプト

  1. 九州・山口が地理的に大陸に近く、欧米列強の圧力や影響を受け、日本の近代化に向けて高いモチベーションを維持していた地域と位置付けた。
  2. 産業構造及び産業活動が持つ相互の関連性及び連続性を視野に入れ、4つの柱((i)自力による近代化、(ii)積極的な技術導入、(iii)国内外の石炭需要への対応、(iv)重工業化への転換)に整理した。

(5)構成資産

日本の自力による近代化から積極的な技術導入、さらに国内外の石炭需要への対応から重工業化への転換までを構成する22資産
■総資産数 22件(うち国指定13件、市指定3件、未指定6件)

(6)「九州・山口」の近代化産業遺産群」提案自治体連絡先

「九州・山口の近代化産業遺産群」提案自治体連絡先(pdf形式:96KB)

●萩市に関する事項

  1. 前回提案は萩反射炉のみであったが、今回の提案では、松下村塾、恵美須ヶ鼻造船所跡が加わり、萩市の資産は3件となった。
  2. 「萩城・城下町及び明治維新関連遺跡群」(前回の提案)の構成資産として重複していた萩反射炉については、当提案に含め、重複を解消した。

●前回の提案からの主な変更点

  1. 九州・山口に限定した理由を明らかにした。
  2. コンセプトの説明のため、資産を増加(9件増加)し、その結果、6県11市での提案となった(前回は6県8市)。

●前回の提案の概要

近世末から近代初頭における日本の工業化・近代化は、西洋技術の導入から極めて短期間の内に、他の非西欧諸国に類例をみない飛躍的な発展を遂げており、国内外の研究者から世界史上の奇跡として評価されている。九州・山口は、そうした日本の近代化の主導的な役割を担うとともに、日本の経済発展を支えた基幹産業である製鉄・造船・石炭・紡績などの産業発祥の地であることから、その産業遺産群には特異な価値が見い出せる。

※産業遺産…
歴史的、技術的、社会的、建築学的、さらに科学的価値を持つ産業文化の遺産。これには建物、機械、作業場、工場、製造所、加工場、精錬所、また、エネルギーが費やされ、使われ、運搬に利用された場所、さらに住宅や教育施設など産業に関係した社会活動の場所も含まれる。
※シリアル・ノミネーション…
広範囲に分散する複数の遺産を一つの遺産群として世界遺産に登録する手法。

▼今後の予定

 文化庁が設置した有識者で構成する専門分野別ワーキンググループによる審議が、平成20年1月以降、本格的に行われる。審査結果は、平成20年夏頃には発表される予定。