○萩市議会基本条例
令和2年3月27日
条例第14号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第5条)
第3章 市民と議会の関係(第6条―第11条)
第4章 市長と議会の関係(第12条―第14条)
第5章 議会運営(第15条・第16条)
第6章 政務活動費(第17条)
第7章 議会及び事務局体制の充実強化(第18条―第22条)
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第23条―第25条)
第9章 最高規範性と見直し手続(第26条・第27条)
附則
平成17年3月に1市2町4村で合併した本市は約698km2もの広大な面積を有する市となった。これにより離島及び中山間地域を抱えた本市は、地域毎に異なる行政課題を内包し、その解決に向けて、きめ細かな対応を求められている。
こうした状況の中、地方自治における二元代表制の一翼を担う萩市議会の役割も単なる議決機関に留まらず、市民の意思を代弁する合議制の意思決定機関であることをより強く認識する必要に迫られている。行政運営について監視することはもとより、積極的に市民と対話を重ね、政策立案及び政策提言を行うことで、行政課題を解決していく不断の努力が必要である。
本市は合併以降、人口減少が進み、今後もそれが加速的なものになることが予想されている。萩市議会においても危機感をより一層強く持ち、その機能強化を図るべきである。
萩市議会は「市民に開かれた議会」を目指すとともに「議会及び議員の活動の活性化」を実現させ、市勢の発展に尽くすことを強く決意してこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき、合議制の意思決定機関である萩市議会(以下「議会」という。)の役割を明らかにするとともに、議会に関する基本的事項を定めることにより萩市議会議員(以下「議員」という。)の資質を向上させ、市民福祉の向上と市勢の発展に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動)
第2条 議会は、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。
(1) 市の議決機関として、公正性及び透明性を確保し、信頼性を重んじた議会活動を行うこと。
(2) 市民を代表する立場から、適正な市政運営が行われているかを監視し、評価すること。
(3) 提出された議案の審議又は審査を行うほか、政策の立案及び提言に積極的に取り組むこと。
(4) 市民に開かれた議会を目指して情報の開示に努めるとともに、市民が参画しやすい議会運営に努めること。
(5) 市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させるための運営に努めること。
(議員の活動)
第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制機関であることを十分に認識し、議員間の自由な議論を尊重するものとする。
2 議員は、調査、研究、研修等を通じて、自己の能力を高める不断の研さんに努め、その成果を積極的に活用するものとする。
3 議員は、市政全般の課題について、市民の多様な意見を的確に把握することに努めるとともに、一部団体及び地域の意向のみならず、市民全体の福祉の向上を目指して活動するものとする。
(会派)
第4条 議員は、円滑に議会活動を行うため、会派を結成することができる。
2 会派に関することは、議長が別に定める。
(危機管理)
第5条 議会は、災害等の不測の事態に備え、緊急時における総合的かつ機能的な活動が図れるよう、危機管理体制の整備に努めなければならない。
2 議会は、災害等の不測の事態が発生したときは、状況を調査し、市民の意見及び要望を的確に把握するとともに、必要に応じ市長等に対し、提言及び提案を行うことができる。
3 議長は、災害等の不測の事態が発生したときは、必要に応じ、議員による協議又は調整を行うための協議会等を開催することができる。
4 議員は、地域における被災状況、市民の要望等の情報収集に努め、必要に応じて議長に報告する。
第3章 市民と議会の関係
(会議の公開と市民参画の推進)
第6条 議会は、常任委員会、議会運営委員会、特別委員会(以下「委員会」という。)及び全員協議会を原則として公開する。
2 議会は、市民の多様な意見を議会活動に反映することを目的に、市民の議会活動へ参画する機会の確保を図る。
(市民への説明責任)
第7条 議会は、市民に対し議会の活動に関する情報を積極的に公表し、透明性を高めるとともに、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
(広報広聴の充実)
第8条 議会は、多様な広報手段を活用し、多くの市民が議会及び市政に関心を持つよう広報広聴活動の充実に努めるものとする。
(議会報告会及び市民との意見交換)
第9条 議会は、議会で行われた議案等の審議過程及び結果について市民に報告するとともに、市政全般に関する課題について意見交換を行うことを目的に、年1回以上、議会報告会を開催する。
(請願及び陳情)
第10条 議会は請願及び陳情については真摯に取り扱うものとし、請願の審査に当たっては、必要に応じて、その提出者の意見を聴く機会を設けることができる。
(情報公開及び個人情報の保護)
第11条 議会は、情報の公開請求に対し、請求者の立場に立って、迅速かつ適切に対処しなければならない。
2 議会は、個人の権利や利益が侵害されることのないよう、その保有する個人情報の保護を適正に行わなければならない。
3 情報公開及び個人情報の保護について必要な事項は、萩市情報公開条例(平成17年萩市条例第29号)及び萩市議会の個人情報の保護に関する条例(令和5年条例第1号)に定めるところによる。
第4章 市長と議会の関係
(議会及び議員と市長等執行機関の関係)
第12条 議会審議における議員と市長等との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めるものとする。
(1) 本会議における議員の市長等に対する質問は、広く市政の課題に関する論点及び争点を明らかにすること。
(2) 議長から本会議又は委員会への出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て議員の質問に対して、その論点を整理するため質問することができる。
(議会への説明等)
第13条 議会は、市長等が提案する重要な政策について、その政策水準を高めることに資するため、市長等に対し必要な情報を明らかにするよう求めることができる。
(議決事件の拡大)
第14条 議会は、自らの団体意思決定機能と監視機能を向上させ、また、市の重要な計画や政策について市民に開かれた議論を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定により議会の議決すべき事件の拡大を図るものとする。
2 前項の規定による議会の議決すべき事件は、地方自治法第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件に関する条例(平成23年萩市条例第23号)で定める。
第5章 議会運営
(議員間討議)
第15条 議会は、議員相互の自由な討議を重視した運営に努めるとともに、議案等を審議し結論を出す場合にあっては、合意形成に向けて議員相互において議論を尽くすよう努める。
(委員会の活動)
第16条 委員会は、その所管する事務について積極的な調査研究を行い、議案審査に資するとともに、政策提言を行うものとする。
2 委員会は、年度当初にその年度の活動方針や視察内容について十分な検討を行わなければならない。
3 委員会は、審査又は調査の内容が他の委員会の所管と密接に関連する場合は、連合審査会を開くことができるものとする。
4 委員会は、必要に応じて、議事堂以外の場所で開催することができるものとする。
5 委員長は、民主的かつ公正な委員会運営を行うものとする。
6 委員長は、委員会審査報告を行うときは、その内容が市民に対して分かりやすい報告となるよう努めなければならない。
第6章 政務活動費
(政務活動費)
第17条 議員は、政務活動費の執行に当たっては、萩市議会政務活動費の交付に関する条例(平成17年萩市条例第8号)の規定を遵守するとともに、その透明性を確保しなければならない。
2 政務活動費の交付を受けた議員は、政務活動費の収支報告書について、自ら説明責任を果たさなければならない。
第7章 議会及び事務局体制の充実強化
(予算及び体制の確保)
第18条 議会は、議決機関としての機能を充実するため、必要な予算及び体制の確保に努めるものとする。
(議員研修)
第19条 議会は、議員の研さんのため、議員研修会を開催するよう努めなければならない。
2 議会及び議員は、市政の課題に対する政策立案能力の向上を図るため、他の自治体等の事例等を調査研究するよう努めなければならない。
(議会事務局)
第20条 議会は、議員の政策形成活動及び議会の円滑な運営を補助するため、議会事務局の充実強化に努めるものとする。
(議会図書室)
第21条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努め、その有効活用を図るものとする。
(議会改革)
第22条 議会は、議会の信頼性を高めるため、継続的な議会改革に取り組むものとする。
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第23条 議員は、その倫理性を常に自覚し、品位を保持し、及び識見を養うよう努めなければならない。
2 議員の政治倫理に関する事項については、萩市議会議員政治倫理条例(令和2年萩市条例第15号)で定める。
(議員定数)
第24条 議員の定数は、萩市議会議員定数条例(平成21年萩市条例第19号)で定める。
2 委員会又は議員は、前項の定数を改正しようとするときは、明確な改正理由を付して、議案を提出しなければならない。
(議員報酬等)
第25条 議員報酬等は、萩市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(平成17年萩市条例第47号)で定める。
2 委員会又は議員は、前項の報酬等の額等を改正しようとするときは、明確な改正理由を付して、議案を提出しなければならない。
第9章 最高規範性と見直し手続
(最高規範性)
第26条 この条例は、議会における最高規範であって、議会に関する条例、規則等の制定又は改廃を行うときは、この条例の趣旨を踏まえ整合性を図るものとする。
(条例の検証と見直し)
第27条 議会は、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において必要に応じて検証するものとする。
2 議会は、前項による検証の結果に基づいて、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和5年3月3日条例第2号)
この条例は、令和5年4月1日から施行する。