渡辺蒿蔵旧宅の整備が完了しました
1.渡辺蒿蔵旧宅について
当旧宅は、渡辺蒿蔵の居宅としてつくられたもので、橋本川河畔の敷地内には、明治中期に建てられた主屋、茶室、土蔵が建ち並び、江向八丁筋に面して、江戸時代の武家屋敷の遺構と考えられる長屋門を構えます。また、主屋と茶室の前面には日本庭園が設けられています。
2.一般公開
萩市では、平成24年4月からの公開にあわせて、遺族から寄付された遺品や写真を展示いています。旧宅は萩まちじゅう博物館江向案内所として市民や来訪者の交流の場として活用しており、NPO萩観光ガイド協会の方が常駐し、ご案内しています。
■開館時間 午前9時~午後5時 (入館は午後4時30分まで)
■入 場 料 無 料
■休 日 無 休
■駐 輪 場 有 り(屋根なし)
3.交通案内
近くに駐車場はありませんので、徒歩または「まぁーるバス」をご利用ください(西回り:福祉作業所つばき園前)
※土日祝日のみ萩自動車学校職員駐車場を臨時駐車場としてご利用いただけます。ただし、土曜日については利用できない場合があります。
4.事業の経緯
当旧宅は、代々渡辺家に受け継がれてきましたが、渡辺蒿蔵の娘にあたる渡辺八百さんが亡くなられてからは空き家になっていました。平成16年に所有者であるひ孫の渡辺寛さん(千葉県浦安市在住)より萩市に建物及び土地が寄付(一部買上げ)されました。また、あわせて渡辺蒿蔵の留学時代の写真、日記等の遺品を萩市に寄付いただきました。
なお、渡辺蒿蔵旧宅の整備にあたっては、皆さんからいただいたふるさと寄付を活用させていただきました。
事業主体 | 萩市 |
名称 | 渡辺蒿蔵旧宅 |
所在地 | 萩市大字江向6番地他 |
構成 | 主 屋 木造一部二階建 延床面積286.04平方メートル 茶 室 木造平屋建 延床面積24.98平方メートル 土 蔵 木造二階建 延床面積67.64平方メートル 長屋門 木造平屋建 延床面積43.76平方メートル |
工事期間 | 平成20年度~平成23年度 |
総事業費 | 総事業費 1億5,714万円(国1/2、萩市1/2) うち整備工事費 1億322万円 |
事業内容 | いずれの建物も、雨漏りや経年により破損していた屋根や柱・梁・土台などの構造体の補修を行うとともに、屋根の葺替えや内外の壁の塗り直しなどを行いました。また、荒廃していた日本庭園についても中門の復原や飛石の据え直し、樹木の剪定と植樹を行い、露地風庭園として整備しました。あわせて、トイレや駐輪場など今後の活用に必要な施設の整備も行いました。 平成20年度 整備工事に係る建築・設備の実施設計業務、土地の買上げ 平成21年度 主屋の軸部修理・屋根葺替 平成22年度 主屋の造作修理、土蔵の屋根葺替・外壁張替、長屋門の軸部修理、設備整備 平成23年度 長屋門の屋根葺替・造作修理等、茶室の軸部修理・屋根葺替・造作修理、外構整備、設備整備 |
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5.渡辺蒿蔵とは
天保14年(1843)萩藩士渡辺家に生まれ、萩藩士天野家の養子となるが、明治8年(1875)渡辺家に復籍しました。安政4年(1857)松下村塾に入塾し、吉田松陰から「奇物」と期待されました。97歳の昭和14年(1939)まで健在で、松下村塾生として最も長生きでした。文久3年(1864)奇兵隊に入りましたが、元治元年(1864)禁門の変で長州藩が敗退後、西洋兵学の修得に励みました。25歳の慶応3年(1867)兵学修業のため長崎へ派遣され、まもなく藩命により米国留学に出発しました。さらに英国へ渡ってロンドン大学に学び、グラスゴーで造船技術を修得しました。 31歳の明治6年(1873)帰国して工部省に入り、明治7年に長崎在勤を命ぜられ、長崎製作所で造船事業の近代化につとめ、明治12年、東洋一とうたわれた立神(たてがみ)ドックを完成させました。明治16年、日本最大の木造船小菅丸を完成させ、長崎造船局の初代局長となりましたが、翌年、造船局が三菱会社へ貸与となったため本省に戻りました。49歳の明治24年(1891)逓信省を依願退職し、萩に帰郷、隠棲しました。萩では茶道を嗜むなど、悠々自適の生活を送るとともに、松下村塾の保存事業に地元代表として尽くしました。
6.地図
7.問い合わせ先
■施設の公開活用に関するお問い合わせ
萩市まちじゅう博物館推進課 0838-22-6450
■施設の整備に関するお問い合わせ
萩市文化財保護課 0838-25-3238