ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 市長室 > 令和5年度 市長施政方針

令和5年度 市長施政方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年5月11日更新

はじめに

 令和5年3月萩市議会定例会の開会に当たり、諸議案の説明に先立ちまして、施政の方針に係る所信と、主要な施策について申し述べさせていただきます。

 我が国の少子化は、想定を上回るペースで急速に進行しており、昨年の出生数は、国の統計開始以来、過去最少となることが見込まれております。

 こうした中、国では、少子化への対応は、待ったなしの先送りの許されない課題とされ、子ども・子育て支援を最重要政策と表明されました。

 萩市におきましては、国に先駆け、子育て支援に特に重点を置き、多子世帯への応援や給食費の無償化など、子育て世代を支援する取組を先進的に行ってまいりました。

 市長として、子育て支援に注力している萩市のこれまでの方向性は間違っていないと、改めて確信し、誰もが、萩市で子育てをしたいと思える「日本一子育てしやすいまち・萩」の実現に向け、着実に、歩みを進めてまいりたいと考えているところであります。

 本年4月から、人口減少・少子化対策につきましては、「若者の働く場の創出と確保」、「移住を促進する住まいの確保と提供」、「出生・子育て・教育環境の充実」を3つの柱として掲げ、集中的に取り組むとともに、引き続き、組織横断的に、新たな事業を検討するなど、実効性のある取組の更なる展開を図ってまいります。

 現下の情勢は、人口減少や少子化の急速な進行に加え、長引くコロナ禍、原油価格や物価の高騰、自然災害などが、市民生活や地域経済に大きな影響を与え、先行きの不透明な状況が続いております。
 一方、SDGsの実現に向けた取組やデジタル技術の活用など、地域の活性化や発展につながる動きも広がりを見せております。

 こうした時代の潮流を的確につかみ、新たな視点や技術を積極的に取り入れ、山積する諸課題に進取果敢に取り組み、「明るく元気な萩市」を創ってまいります。

1 だれもが生きいきと暮らせるまちづくり

(持続可能な医療体制の構築)

 萩保健医療圏におきましては、医師や看護師等の医療従事者の不足と高齢化が深刻な課題であり、市民の皆様が安心して暮らしていくためには、救急医療をはじめ医療体制の確保が不可欠であります。
 医療人材や機器など、限られた医療資源を効率的に活用できるよう、また、医療機関の機能分担と連携を適切に進めるため、地域の医療連携の核となる中核病院づくりに向けて取り組んでまいります。
 併せて、各地域の診療所におきましても、引き続き医師確保に取り組むとともに、運営体制の見直しを進め、安心して医療を受けられる体制の構築に努めてまいります。

(高齢者福祉の推進)

 全国に先行して高齢化が進む萩市におきましては、本年1月末現在の高齢化率が44.6%となり、今後も上昇していく見込みとなっております。
 こうした中、誰もが住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、医療・介護・福祉サービス従事者の確保に努め、必要なサービスが適切に提供される地域包括ケアシステムの充実を図ってまいります。
 また、高齢者の移動手段の確保と利用しやすい交通環境の整備を進め、高齢者の社会参加を促進してまいります。

(障がい者福祉の推進)

 萩市におきましては、県内で初めて手話言語条例を定め、手話が言語として使える社会の構築に取り組んでおります。本年11月には、コロナ禍で開催を延期していた全国手話劇祭を開催するなど、引き続き、聴覚障がいに対する理解を深め、手話の普及啓発に努めてまいります。
 また、障がいのある方が介護者の疾病など急な事態により、自宅で生活をすることができなくなった場合に、受入先を確保するなど、新たな支援の仕組みづくりに取り組んでまいります。

2 子育ての幸せが実感できるまちづくり

(妊娠・出産・子育て環境の充実)

 本年4月のこども家庭庁の創設に先立ち、国は、妊娠・出産時に合わせて10万円相当を給付する経済的支援と伴走型相談支援の充実を図る出産・子育て応援交付金制度を創設されました。
 国に先駆け、萩市では、10万円の誕生祝金や多子世帯を応援する祝金制度を実施するとともに、子育て世代包括支援センターHAGUを総合相談窓口として、妊娠期から子育て期までの相談体制を構築しております。
 こうした取組を引き続き実施するとともに、新たな支援策を講じ、全国でも引けを取らない萩市の子育て支援策の更なる充実を図り、希望する人数の子どもを持てるよう強力に後押ししてまいります。

 昨年4月から、子育て世帯の経済的負担の軽減につながるよう、まずは、中学生の給食費の無償化を開始したところであります。
 将来にわたり持続して支援できる制度とするため、学校給食基金を創設することとし、本年4月から、小学生の給食費につきましても無償化を実施してまいります。
 また、これまでの産後ケアに加え、新たに、乳児のショートステイやデイケア、家事援助ヘルパーサービスを実施してまいります。
 さらに、新生児の聴覚検査費を助成し、先天性聴覚障がいの早期発見につなげてまいります。

 このほか、不妊治療につきましては、昨年4月から公的保険適用となった治療費の自己負担に加え、新たに、市外への通院に係る交通費の助成など、治療を受けられる方を支援してまいります。

(子どもたちの笑顔があふれる居場所づくり・仕事と子育ての両立支援)

 子どもたちが健やかに育つ場として、また、仕事と子育てを両立するためにも、保育所等は欠かせない存在となっております。
 このため、需要が高い3歳未満児の入所定員の拡大を目的とした、施設の整備を行う認定こども園を支援するとともに、引き続き、不足する保育士の確保に取り組んでまいります。
 また、多くの保護者からの声を受け、公立保育所におきましては、使用済みおむつの処分を実施してまいります。

(出逢い・結婚サポートの充実)

 結婚を望まれる方が希望を叶えられるよう、引き続き、長門市及び美祢市と連携し、出逢いの場の創出に取り組み、出逢いから結婚まで伴走型のサポート体制の充実を図ってまいります。
 また、結婚に関連する事業所と連携し、結婚活動を応援する取組を新たに行うなど、社会全体で結婚を応援する機運の醸成に努めてまいります。

3 未来を担うひとを育むまちづくり

(新しい時代を切り拓くひとづくり)

 幕末の動乱期、高い志を持った萩藩の5人の若者「長州ファイブ」が、命懸けで英国に密航留学を果たしてから160年の節目の年を迎えます。
 5人の若者の志と勇気に学ぶ萩市独自の取組であり、コロナ禍により中止を余儀なくされていた長州ファイブジュニア語学研修につきましては、4年ぶりに実施することとしております。
 また、グローバル化が進展する社会で必要とされる語学力やコミュニケーション能力の向上、豊かな国際感覚を養うため、引き続き、英語検定料の助成やイングリッシュキャンプの開催など、世界を舞台に活躍することができるグローバル人材の育成に努めてまいります。

 本年4月から、全ての公立小中学校が小・中一貫教育校となります。
 義務教育の9年間を通して、萩市が誇る歴史や自然、文化などを活用した特色ある活動を展開するとともに、ICT教育の充実を図り、ふるさと萩を誇りとし、志を抱き、たくましく生きる子どもの育成に努めてまいります。

 中学校の部活動の地域移行につきましては、引き続き、関係団体や家庭、地域と連携し、子どもたちが希望する部活動を選択できるよう取り組むことにより、文化、芸術やスポーツに親しみ、心身ともに健やかで主体性のある子どもの育成に努めてまいります。

(萩の未来を支える教育機会の充実)

 学ぶ意欲のある子どもたちが、経済的な理由で進学や資格取得を諦めることがないよう、引き続き、給付型の奨学金制度により負担の軽減を図ってまいります。
 併せて、萩市に定住の意思がある若者の進学を支援するため、奨学金の返還による経済的な負担を軽減できるよう、貸与型奨学金の返済を支援してまいります。

(高校の魅力化)

 萩市では、学びの場である「萩探究部」におきまして、高校生が探究にチャレンジできるよう環境を整え、自ら考える力や課題解決力を育む活動を支援するなど、萩市ならではの取組を進めているところであります。
 また、高校生に対する通学費の助成や、女子寮の運営に継続して取り組むとともに、男子寮の整備に向け引き続き検討を進めるなど、市内の高校に通学しやすい環境づくりに努めております。
 引き続き、萩市の未来を担う子どもたちが、萩で学びたいと思えるよう、高校の魅力化に取り組んでまいります。

4 産業活力があふれるまちづくり

(萩ブランドの推進)

 萩ブランドとして地域のイメージや商品を戦略的に発信し、地域全体のブランドイメージを向上させることは、商品やサービスの価値を高め、地域産業の底上げにつながります。
 こうしたことから、桜の開花時期に最盛期を迎えるマフグに「桜ふぐ」と愛称をつけ、地酒や旬の食材に合う、新たなメニューの開発を行い、付加価値を向上させ、利益につなげる仕組みを構築しているところであります。
 また、本年1月からは、東京のレストランで萩むつみ豚や長萩和牛を使用したメニューを提供し、萩の食材の美味しさを味わっていただくなど、萩ブランドの認知度向上及び販路拡大に努めております。
 さらに、市内の水産加工事業者が山口県水産加工展におきまして、2年連続で農林水産大臣賞を受賞されるなど、事業者におかれましても萩ブランドの魅力向上にご尽力をいただいているところであります。
 引き続き、生産者や事業者と連携し、ターゲットに応じた情報発信の強化に努め、地域の稼ぐ力を高めてまいります。

(地域のにぎわいを取り戻す地場産業の再生)

 長引くコロナ禍や物価高騰による影響のほか、少子高齢化に伴う後継者不足など、市内事業者を取り巻く環境は厳しい状況が続いております。
 このため、地域経済を支える中小企業等に対して、販路拡大や生産性の向上に向けたデジタル化などの支援制度の充実とともに、新たな起業・創業や就業、事業承継への支援などに取り組んでまいります。
 また、企業の人手不足への対策として、市内企業の魅力を知っていただく合同企業説明会を引き続き開催するほか、求職者への情報発信を充実させ、企業とのマッチングを更に支援することで雇用の確保に努めてまいります。
 このほか、萩焼をはじめとした地場産業の振興に加え、道の駅「萩・さんさん三見」のリニューアルなど、道の駅等を中心とした地元特産品の販売機会の拡大により、地域経済の活性化を図ってまいります。

(企業人材の育成と雇用拡大の支援)

 萩市におきましては、人口減少による労働力の低下や、市外への労働力の流出が顕著であり、活力低下の大きな要因となっております。
 こうしたことから、時代に対応した人材を確保するため、IT関連企業のサテライトオフィスの誘致を推進し、関係機関と連携したITグローバル人材の育成に努めているところであります。
 また、新たに、テレワークを活用した人材の採用・定着を目指している企業と、萩市でのテレワーク就業を希望する求職者のマッチングを図ることで、雇用の場を創出してまいります。
 加えて、市内事業者の事業拡大におきまして、本年1月、明木中学校の跡地を事業用地として活用する事業者が決定したところであります。
 引き続き、雇用の場の確保及び地域の活力創出につながる取組を積極的に推進してまいります。

(力強い農林水産業の推進)

 高齢化等に伴う担い手不足や、物価高騰などの不安定な社会情勢の影響により、農林水産業を取り巻く環境は、非常に厳しい状況が続いております。
 このような状況を打破し、農林水産業を成長産業として強力に推進するため、多様な担い手の確保・育成に積極的に取り組むとともに、従事者の所得向上につながる施策を進めてまいります。

 農業におきましては、県内トップ水準の就業支援体制による担い手の確保・育成・定着への取組に加え、はぎ地域づくり協同組合の運営を支援し、雇用の創出、人手不足の解消、事業者の事業継続等を進めてまいります。
 また、生産や販路拡大等に積極的に取り組む農業者を支援し、儲かる農業の実現を目指した取組を展開してまいります。
 このほか、地域農業の継続的な発展を推進するため、農地集積や生産規模拡大を支援するとともに、農業に欠かすことができない除草作業の省力化を図るため、新たに、防草シートの設置を支援してまいります。

 林業におきましては、次世代まで幸せになる林業を目指し、森林団地の形成と林業経営体の育成、住宅建築における地域産木材の利用促進など、適切な森林経営管理と資源の活用を推進してまいります。
 また、新たに、森林資源を再生可能なエネルギーとして活用するため、薪ストーブの導入を支援するとともに、市有林を活用した森林イベントを開催し、森林や地域産木材を身近に感じる機会の創出に努めてまいります。
 さらに、景観や生活環境の保全など適切な森林管理を促進するため、公道等の公共性の高い場所における支障木の除去を支援してまいります。

 水産業におきましては、持続可能な水産業の実現を図るため、効果的な栽培漁業及び磯焼け対策など、水産資源の保護・育成と漁場環境の保全を推進してまいります。
 また、新規就業者の安定的な確保・定着に向けた取組を進めるとともに、漁業者の所得向上を図るため、関係団体と連携し、高鮮度出荷方法の確立や流通体制の構築により、萩の魚の付加価値を更に高めてまいります。

 一次産業の基盤である農林水産業施設におきましては、近年多発する自然災害に備えた防災・減災対策や長寿命化対策を実施し、生産性の向上と安心安全な生産基盤の確立に努めてまいります。

(地域経済の発展を加速化する高速道路ネットワークの形成)

 萩市が持続的に発展するためには、広域的な交通、物流に加えて、安心安全な暮らしの基盤となる高速道路ネットワークの形成が急務であります。
 山陰自動車道や小郡萩道路の整備につきましては、早期全線開通に向け、引き続き期成同盟会により、国や県に対して強力に要望してまいります。
 また、山陰自動車道大井・萩道路に設置される(仮称)萩東インターチェンジから市街地や主要観光地へのアクセス道路の整備を進めてまいります。

5 魅力ある歴史・文化・自然をいかしたまちづくり

(観光地経営の視点に立った観光地域づくりの推進)

 コロナ禍に伴う行動制限が緩和される中、昨年は各地で賑わいを取り戻し、萩市への観光客数も回復傾向にあります。
 更に観光客を呼び込むため、歴史・まちなみ、四季折々の花、雄大な自然、豊富な食、萩ならではの体験の5つの資源を活用し、「GO(5)TO萩」をテーマとした萩観光キャンペーンを総合的に展開してまいります。
 また、日本の近代化・工業化の礎を築いた長州ファイブが、英国に密航留学して160年、萩市出身の内閣総理大臣、桂太郎公没後110年の節目の年に当たる本年、関連の記念事業を実施してまいります。
 加えて、世界文化遺産や、史跡などの文化財施設を活用することで、萩の観光資源や強みをいかし、魅力に満ちた観光地づくりに努めてまいります。

(文化のおたから、自然のおたから、産業のおたからの再発見・継承)

 萩まちじゅう博物館は、まち全体を屋根のない博物館と見立て、広く存在する萩の「おたから」を保存・活用する取組として、萩市のまちづくりとともに、観光地づくりの一翼を担ってまいりました。
 萩まちじゅう博物館設立20年を迎える令和6年には「萩まちじゅう博覧会」と銘打ち、萩市全体を会場としたイベントの開催を予定しております。
 本年は、博覧会の開催に向けてプレ博覧会を実施するなど、機運の醸成を図ってまいります。

 昨年、全館を開館した萩・明倫学舎には、多くの方が来館され、賑わいを見せております。
 2号館にある幕末ミュージアムの貴重な展示資料の寄贈者であり、萩市幕末史料専門員としてご尽力いただいた小川忠文(おがわただふみ)氏が、昨年ご逝去されました。
 その功績をたたえ、追悼行事を開催し、故人の志と日本の近代化の原点である幕末維新期の科学技術等の素晴らしさを、次代に継承してまいります。

(萩ジオパークの推進)

 昨年12月、萩ジオパークが日本ジオパークに再認定されました。
 これまで取り組んできた市民への理解増進、学校教育及び地域経済へ貢献する活動に加え、本年は、認定5周年の記念イベントを開催するなど、地域と一体となった更なるジオパーク活動を展開してまいります。
 また、萩ジオパークのジオサイトである長門峡が、国の名勝に指定されてから100年の節目の年を迎えることから、萩博物館で特別展を開催いたします。萩市出身の画家で、長門峡の名付け親でもある高島北海が、峡谷の美景としては日本第一であると絶賛した長門峡の魅力を積極的に発信してまいります。

6 生活基盤の充実した住みよいまちづくり

(暮らしに密着した交通網の形成)

 市民の暮らしを支える利用しやすい交通ネットワークを実現するため、地域コミュニティによる移動支援の推進、地域巡回バスや萩循環まぁーるバスの利用促進など、利用者のニーズに応じた、きめ細かな交通手段の確保に努めてまいります。

 昨年、JR山陰本線をはじめとする輸送密度が1,000人未満のローカル線を対象に、国の主体的な関与により、自治体と鉄道事業者が今後のあり方を協議する枠組みの創設が提言されたところであります。
 このため、沿線自治体をはじめ、国、県及び関係団体と連携して利用促進を図り、JR山陰本線の維持に向けた取組を進めてまいります。

 離島航路につきましては、本年8月、相島の皆様待望の新船が就航いたします。就航に併せ、渡船通路に雨除けを設置し、島民や相島を訪れる方の利便性の向上を図ってまいります。

(防災体制の強化)

 平成25年7月、山口・島根両県を襲った記録的豪雨は、各地で河川の氾濫や護岸の崩壊、住宅の浸水など、多くの被害をもたらしました。
 東部地域を襲ったこの集中豪雨災害から10年が経過いたします。
 当時の記憶を風化させることなく、しっかりと後世に伝えていくため、節目となる行事を実施するなど、市民の皆様と行政が一体となり、防災意識高揚のための活動に積極的に取り組んでまいります。
 また、災害による被害の軽減を図るため、各地区での自主防災組織の育成支援を行うとともに、自ら避難することが困難な方に対する個別避難計画を作成するなど、災害からの逃げ遅れゼロを目指してまいります。
 さらに、被災者の迅速な救出につなげるため、接近することが困難な被災地の状況を把握できるドローンを新たに整備するなど、防災体制の充実を図ってまいります。

(地球にやさしい環境づくり)

 脱炭素、電力の安定供給、経済成長の3つを同時に実現するため、国は、「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を示されました。
 萩市では、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、森林整備や地域産木材の利用促進をはじめ、公共施設のLED照明の設置、ごみの減量化を図る取組等を実施するとともに、小学生を萩エコ大使に任命し、環境教育を推進するなど、具体的な取組を進めてまいります。

7 だれからも愛されるまち、求められるまちづくり

(萩の魅力をいかした移住・定住)

 テレワークの普及や地方移住への関心が高まる中、国は、移住支援金の拡充など、若い世代や子育て世代の地方への移住を促す取組を進めております。
 萩市に移住者を呼び込むため、定住総合相談窓口「はぎポルト」を核として、空き家情報バンクによる空き家の利活用を図るとともに、移住される方の相談にきめ細かく対応してまいります。

 新たな取組として、移住を検討されている方から希望が多い賃貸住宅につきましては、空き家情報バンクへの登録を促すため、空き家の所有者に対する物件改修費の補助制度を創設するとともに、若い世代や子育て世代を対象とした民間賃貸住宅の家賃補助を拡充いたします。
 また、中山間地域への子育て世代の定住を促すため、佐々並地区におきまして、空き家を活用した賃貸住宅の整備や、定着するための空き家改修の支援など、住民との協働による定住促進モデルの構築に取り組んでまいります。
 さらに、浜崎地区の文化財施設やJR三見駅舎を改修して整備したお試し暮らし住宅を活用するとともに、萩の魅力を全国に発信するため、移住の検討に必要となる情報を一元化したポータルサイトを構築するなど、移住・定住を推進してまいります。

(文化・芸術・スポーツの振興)

 市民の皆様に、健康で生きがいを持って心豊かに暮らしていただくために、文化や芸術、スポーツを推進していくことが重要であります。
 引き続き、萩・明倫学舎3号館に開設した市民ギャラリー「ふれ愛ギャラリー萩ぶらっと」の積極的な活用とともに、市役所ロビーコンサートの開催など、気軽に文化や芸術に触れる機会を創出してまいります。
 また、スポーツをする機会の創出とともに、指導技術や競技水準の向上に向け、官民学が連携し、指導者の養成研修の実施や、トップアスリートによるスポーツ教室の開催など、新たな仕組みの構築に取り組んでまいります。

(地域の特色をいかしたまちづくり)

 昨年は、市内各地域におきまして、ふるさとまつりをはじめとする多くの催しが行われました。市内外からの来場者で賑わう催しは、市民の皆様の元気や活力の源となります。
 引き続き、各地域の特色ある地域資源を活用した取組を実施するとともに、花を活用した賑わいの創出などに取り組んでまいります。
 また、更なる交流人口の拡大を図るため、ワーケーションなどの新たな需要にも対応できるよう、川上地域及び旭地域の温泉公園施設やキャンプ場に、フリーWi-Fiを整備してまいります。

(魅力ある離島の発展)

 昨年11月に改正離島振興法が成立し、小規模離島について日常生活に必要な環境維持が図られるよう配慮する規定などが盛り込まれました。
 萩市におきましても、改正法に基づき、インフラ整備や医療体制の確保など、本土との格差是正に向けた各種取組を進めてまいります。

 離島地域では、生産年齢人口の減少を背景とする労働力不足の進行により、生活していく上で必要なサービスの提供が困難になりつつあります。
 こうした状況が顕著となっている見島におきまして、働く世代の定住を促進するため、定住住宅の整備に取り組んでまいります。

(DXの推進)

 デジタル技術やデータの活用により、新たな価値を生み出すDXを引き続き推進してまいります。
 行政サービスの利便性向上を図るため、市民の皆様と双方向でコミュニケーションをとることができる萩市総合アプリ「はぎなび」を積極的に活用するほか、新たに、公共施設の利用予約システムを導入するなど、行政手続のデジタル化を進めてまいります。
 一方、加速するデジタル社会の中で、全ての方が取り残されることなく、デジタル技術の恩恵を受けることができるよう、スマホ活用講座の開催やスマホよろず相談所の開設などに取り組んでまいります。

おわりに

 令和5年度の予算概要について申し上げます。
 令和5年度の一般会計当初予算額は、299億円で前年比0.1%増となり、特別会計を含めた当初予算の総額は、447億4,110万円となり前年比0.5%増となっております。
 今後も、国、県等の補助金の確保はもとより、市債、基金、市有財産の有効活用とともに、ふるさと納税や企業版ふるさと納税制度を活用した財源の確保など、積極的なまちづくり施策を展開しつつ、健全な財政運営に努めてまいります。

 以上、令和5年度の市政運営と所信について申し述べました。

 「至誠天に通ず」
 私は、まごころをもって事に当たれば必ずや結果がついてくる、努力は必ず成果につながると信じ、市長就任以来、一貫して現場第一主義を基本に、有言実行の姿勢で、市政運営に全力を尽くしてまいりました。

 引き続き、私自身が先頭に立って、市民の皆様にしっかりと施策の内容をご説明し、対話を重ね、皆様とともに、新しい時代を切り拓く「5つの良し」のまちづくりの基本政策を進め、未来に誇れる萩市を創ってまいります。

 議員各位並びに市民の皆様のご理解ご協力を心からお願い申し上げます。