櫃 島


      萩市の沖合10.5キロに浮かぶ櫃島は面積0.74平方キロメートル、平成5年11月30日現在の人口20人(男9、女11)、世帯数9です。

    由 来
     人が住み始めた時代は定かでないが、永正5年(1508)頃と推定される大井八幡宮の御済納米銭役人文書には「志都島」と記されており、更に室町時代末期には、阿武郡20郷と並んで農作物、農製品や人役などを同神社に献納していたことがうかがえる。
     また、元文5年分の「地下上申」には、「櫃島」として、戸数17軒、人口118人と牛22頭及び萩への通い船3そうと記されている。
     その後、幕末の「郡中大略」には10世帯で人口は56人に減り、更に昭和55年には10世帯で人口は23人であった。

    現 状
     島の産業は、「葉たばこ」の生産による農業で、現在の耕作面積は約20ヘクタールである。古くには漁船もあったが、漁業はあまりふるわなかった。島には飲料水がないため天水による生活を余儀なくされている。電気は海底ケーブルにより送電され、全戸に電話が設置されている。

    植 物
     島の台上はほぼ平坦地で、周囲はクロマツ林で被われ、一部にアカマツ、竹及び広葉樹等が見られる。
     北海岸には、県内でただ一箇所のキク科植物ヒゴタイが自生しており、オリヅルシダも県内北限の自生地となっている。また八幡宮の境内には、幹の周囲が6.2メートル、高さ約23メートルにも及ぶリュウキュウエノキがあり、日本一の大きさではなかろうかといわれている。
    市報はぎ平成5年(1993)12月15日号掲載 (山口県の島々より抜すい)