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令和3年6月定例会 市長所信表明

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年6月11日更新

はじめに

 令和3年6月萩市議会定例会の開会に当たり、諸議案の説明に先立ちまして、今後の市政運営に係る所信の一端を申し上げ、議員の皆様並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 先の市長選挙におきまして、多くの市民の皆様から温かい、そして力強いご支援をいただき、市政運営のかじ取りを担いますことは誠に光栄であり、その課せられた使命と責任の重さに改めて身の引き締まる思いであります。
 
 県議会議員 として活動 した25年の経験をいかし、これまでお聴きしてきた市民の皆様の声を踏まえ、活力ある萩市を創り上げるため、全身全霊を捧げてまいります。

新型コロナウイルス感染症対策

 全世界で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の拡大は、人々の健康を脅かすだけでなく、社会や経済活動に計り知れない影響を及ぼしています。
 収束を見通すことができない中、新型コロナウイルス感染症への対応は、現下の最優先に取り組むべき課題であり、コロナ禍で苦しむ市民の皆様に寄り添った対策に万全を尽くしてまいります。

 一日も早く安心して暮らせる日常を取り戻すことができますよう、徹底した感染症拡大防止と社会経済活動の回復に取り組み、この難局を乗り切った先にある本市の発展への基盤づくりを進めてまいります。

地域力を上げ、明るく元気な故郷へ

 先に発表されました令和2年国勢調査の速報結果によりますと、本市の人口は44,661人で、5年前に比べ 4,899人 、率にして9.9%減少するなど、人口減少に歯止めがかからず、本市最大の課題となっています。
 本市の高齢化率は4割を超える高い水準で推移し、加えて、昨年度の出生数は177人と減少傾向が続いており、少子高齢化は深刻な状況であります。
 少子高齢化を伴う人口減少は、地域経済の規模縮小を招き、雇用の場の確保や生活基盤の維持が困難となることが危惧され、待ったなしの状況であります。

 これらの状況を打破してい くためには、萩に住みたい、萩で仕事をしたい、萩で子どもを育てたい、そして、萩に住んで良かったと思えるまちにしていかなければなりません。
 これまでの市政の継続すべき部分はしっかりと引き継ぎながら、活力あるまちを創り上げるため、目指すまちの姿として、「明るく元気な萩市」を掲げ、まちづくりの5つの基本政策を進めてまいり ます。

(住んで良しのまちづくり)

 市民の皆様が、住み慣れた地域でいきいきと安心して暮らし続けられる、ふるさと萩を愛し「住んで良し」と胸を張れるまちづくりを推進してまいります。

 まず、市民の命と健康に直結する医療・福祉についてであります。
 萩市民病院と都志見病院の統合による中核病院形成の検討については、市民の皆様にとってこの手法が将来を見据えた上で一番良い選択であるのか、新たな組織を立ち上げ、検討・協議を進めてまいります。

 市長就任以来、萩市医師会や病院職員との意見交換を行うほか、山口大学医学部の医局を訪問するなど、積極的に医療現場の声を聴いてまいりま した。
 萩保健医療圏は、救急医療をはじめとして地域に必要な医療提供が困難になりつつあるなど、多くの課題を抱えておりますが、新たな組織での検討・協議等を踏まえ、将来にわたり地域で安心して医療を受けられますよう取り組んでまいります。

 また、住み慣れた地域において、高齢者や障がいのある方 も安心して暮らすことができますよう、福祉・介護の充実や居場所づくりをはじめ、買い物や通院に利用できる移動手段の確保など、地域ぐるみで互いに支え合う環境を整えてまいります。

 次に、山陰自動車道の整備についてであります。
 本年3月末に、国土交通省から「大井・萩道路」、「益田・田万川道路」について、令和3年度の新規事業化が発表され、長年の悲願である山陰自動車道の整備が大きく動き出し、本市はもとより、山陰地方の発展につながる大きな一歩となりました。
 今後も引き続き国や県と連携し、早期全線開通を目指して、全 力で取り組んでまいります。

 次に、地域の魅力化と振興についてであります。
 「地域に元気がなくなった。どんどん疲弊してい る。」という言葉を耳にします。このような懸念を払しょくし たい、その一心であります。
 地域の皆様の身近にあって、実情を把握している総合事務所が主体となって事業を実施できる仕組みを構築し、地域の声を反映したまちづくりを進めてまいります。

 また、総合事務所、支所及び出張所に一日市長室を開設し、「現場第一主義」を基本に、まずは現場に赴き、市民の皆様の声を受け止め、「有言実行」の姿勢で、お約束したことにしっかり取り組んでまいります。

(訪れて良しのまちづくり)

 萩市には、歴史や文化、食、自然など、豊富な観光資源があります。
 これら誇るべき萩ブランドを最大限活用し、萩まちじゅう博物館構想に基づき、魅力的なまちづくり、観光地づくりを推進してまいります。

 新型コロナウイルス感染症の影響から、観光産業は危機的な状況にありますが、感染防止対策の徹底と事業者への支援について、観光需要の回復に向け、萩市観光協会等と連携して、取り組んでまいりま す。

 海、山、川といった豊かな自然をいかしたアウトドア観光や、歴史や文化、食を楽しむ「まちあるき」、それらを組み合わせた体験など、コロナ禍でも安心安全に周遊していただく仕組みを構築し、地域経済に波及効果を与える取組を進めてまいります。
 また、世界遺産を活用した体験型イベントの実施や開館5周年を迎える萩・明倫学舎の記念企画展の開催、高画質な観光プロモーション動画の発信など、より一層の誘客に努めてまいります。
 
 さらに、地域ならではの観光資源を活用した取組として、四季折々の花を活用したイベントをはじめ、萩ジオパークの見どころや道の駅等を 巡るバスツアーの実施など、地域の魅力化を図ってまいります。

 次に、旧明倫小学校の整備活用についてであります。
 現在、3号棟は現状保存、4号棟は活用に向け整備工事を進めているところであります。市長就任後、萩・明倫学舎の観光の起点としての機能強化を図るため、観光関連団体の事務所移転及び集約について協議を開始したところであります。また、文化団体をはじめ様々な団体の皆様から積極的な活用のご提案、ご要望をいただきました。
 こうしたことから、3号棟の早期活用に向けた整備を進めることとし、今後、利活用について検討してまいります。

(働いて良しのまちづくり)

 元気な産業は、まちの活力の源であります。
 産業を活性化させることで、まちがにぎわい、働く場所として魅力あるまちづくりを推進してまいります。

 長引く新型コロナウイルス感染症の影響により、事業者を取り巻く環境は厳しい状況が続いております。こうしたことから、事業継続と雇用の維持を図るため、引き続きしっかり支援してまいります。
 その上で、アフターコロナを見据 え、中小企業などのデジタル化への対応として、インターネットを活用した事業拡大や生産性を向上するための支援などにも、積極的に取り組んでまいります。

 また、経営者の高齢化や後継者不足などによる事業承継の問題についても、円滑な事業引継ぎのための支援や空き事業所対策等を実施してまいります。
 さらに、雇用の拡大による地元就業や都市圏からの移住・定住を促進するほか、新たなビジネスを生み出すための起業・創業施策にも力を入れてまいります。

 企業誘致については、企業の立地に適した用地を選定するための調査を実施 し、多種多様な雇用の場の創出を積極的に推進してまいります。
 また、新たな時代に対応した若者の就業の場として、IT企業などのサテライトオフィスの誘致を推進するとともに、IT人材の育成・確保に取り組んでまいります。

 産業振興や企業誘致による市内経済の活性化については、萩商工会議所や商工会、金融機関と更なる連携強化を図り、オール萩市で取り組んでまいります。

 農林水産業については、担い手の高齢化の進展に加え、コロナ禍に よる消費や価格の減退など経営環境は厳しさを増しています。
 こうした中、経営基盤の強化を図るため、農林水産業の生産振興や販路拡大に意欲的に取り組む経営体に対し、重点的に支援してまいります。
 また、新規就業者の確保対策に力を注ぎ、後継者の育成を進め、持続可能で魅力ある農林水産業を構築し、若い方のUJIターンや地域の活力を創出してまいります。

 農業においては、「儲かる農業」を実現するため、生産性や付加価値の向上など、収益性の高い経営体モデルを構築 し、市内の農業法人、新規就農者等へ波及させていくとともに、遊休資源の活用と事業承継を推進してまいります。
 また、不利な営農条件下にある中山間地域の農業を守るため、関係機関と連携し、守るべき農地を守る仕組みづくりを進めてまいります。

 林業においては、「次世代まで幸せになる林業」を目指し、森林団地の形成、主伐・再造林の推進に加え、萩産木材の利用促進や付加価値を高め、森林資源の循環利用を図ってまいります。

 水産業においては、魚価の向上と消費の拡大を図るため、萩の魚の認知度及びブランド力向上の取組、資源管理や栽培漁業を推進するとともに、水産基盤の整備を行うことで力強い水産業を振興してまいります。

(学んで良しのまちづくり)

 明治維新の原動力となった先人の志を反映した、萩市ならではの教育に取り組み「学んで良しのまちづくり」を推進してまいります。

 市内小中学生のICT教育については、GIGAスクール構想により整備し たタブレット端末を有効に活用するとともに、家庭におけるオンライン学習を試行的に行うなど、子どもたちが自ら考 え、主体的に問題を解決する力を育むことができますよう支援 してまいります。
 また、子どもたちが多様な考え方に触れ、他校の児童・生徒と協働して学習できますよう、ICTを活用した学校同士の交流や遠隔授業に取り組んでまいります。
 さらに、海外での語学研修の実施、英語検定料の助成等による児童・生徒の英語力の向上を図り、世界で活躍できる人材の育成に努めてまいります。

 本年度から川上小・中学校が小中一貫教育校として新たにスタートしました。本市では、平成28年度に県内初の取組として、福栄地域に開設しており、義務教育9年間を見据えた教育活動の成果をいかし、小中一貫教育を推進してまいります。

 また、各小中学校においては、農業を体験する萩農下村塾や地域イベントへの参画など、地域との連携を深め、特色あるふるさと学習を展開してまいります。
 生まれ育った萩のことを様々な観点からしっかり学び、地域が抱える課題を発見し、自ら解決に取り組み、地域社会や自らの人生にいかそうとする力を育んでまいります。

 子どもたちの笑顔と元気なあいさつは地域の活力につながります。ふるさと萩に誇りを持ち、高い志を抱き、たくましく生きる子どもの育成に努めてまいります。

 本市では、国に先駆け、給付型奨学金制度を実施してまいりました。意欲のある子どもたちが、経済的要因により進学や資格取得をあきらめることがないよう、奨学金制度の拡充を図り、将来の萩市を担うひとづくり、人材育成に努めてまいります。

 学びは子どもだけのものではありません。市民の皆様が、芸術・文化に触れ、感性を磨く機会を確保するとともに、生涯学習やスポーツを通じて、生きがいを持って暮らすことができる環境を整えてまいります。

(育てて良しのまちづくり)

 本市の未来を担うのは子どもたちであります。
 地域や家庭に笑顔があふれる子育て環境を目指し、安心して子どもを産み、育てたいと思えるまちづくりを推進してまいります。

 妊娠期から子育て期にある方は、様々な不安や悩みを抱えています。こうした方の気持ちに寄り添い、不安や悩みを解消するため、相談体制の更なる充実を図り、きめ細かな子育て支援を行ってまいります。
 また、 不妊に悩んでおられる方への治療費の助成 、 乳幼児・子ども 医療費の助成や保育料の軽減など、引き続き経済的負担の軽減を図るとともに、次世代を担う子どもたちの誕生祝金の支給や、保育園、幼稚園、小学校、中学校の給食費無償化など、経済的支援の一層の充実を図ってまいります。

 さらに、子どもたちの安全な居場所や保護者の交流の場として、児童館や親子の遊び場の利用を促進するとともに、安心して過ごせる場や新たな交流の場づくり など、子育て環境の充実に努めてまいります。

 あわせて、共働き世帯が増加する中において、現在のライフスタイルに応じた保育サービスとして、24時間保育や一時預かり保育などを引き続き実施するとともに、民間保育所への支援や放課後児童クラブの充実など、仕事と子育てを両立しやすい環境づくりを進めてまいります。

おわりに

 新型コロナウイルス感染症を契機として、新しい生活様式への対応など、これまで私たちが当たり前のこととして考えてきた価値観や生活観に大きな変化が生じています。
 市政運営に当たっては、これまで常識であったことも含め 、見直しを行い、時代とともに多様化する市民ニーズに柔軟に対応してまいります。
 私には、市民の皆様の今の暮らしを守るだけでなく、これから先の暮らしを守っていく責任があります。市民一人ひとりが未来に希望を持って安心して暮らすことができますよう、先頭に立って取り組んでまいります。

 議員の皆様をはじめ、市民の皆様と心をひとつに、力を合わせ、国や県など関係機関との連携も深めながら、一つひとつ課題を克服し、持ち前の明るさとサービス精神をもって、「明るく元気な萩市」を創ってまいります。
 引き続きお力添えを賜りますよう、改めてお願い申し上げ、私の所信とさせていただきます。

 なお、本定例会におきまして、現在空席となっております副市長の選任と、教育長の任命に関する議案を提出 しております。
 萩市のことは萩市をよく知っている方が担うべきであるとの考えから、いずれも地元人材を登用することとしております。

 また、組織体制のスリム化を図ることで、より円滑に、より効果的に、そして職員が一体となって、5つの基本政策を推進 してまいります。
 あわせて、行政サービスのデジタル化については、国が策定した、自治体DX推進計画に沿って担当課を設置し、強力に取り組んでまいります。
 これらにつきましても、組織条例の改正議案を提出しております。
 それぞれの議案について、ご審議の程よろしくお願いいたします。