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令和6年度 市長施政方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年2月16日更新

はじめに

 令和6年3月萩市議会定例会の開会に当たり、諸議案の説明に先立ちまして、施政の方針に係る所信と、主要な施策について申し述べさせていただきます。

 3年にも及んだ「コロナ禍」と、これに続く物価高騰、AIの普及をはじめとする飛躍的な技術革新、災害級の暑さに象徴される異常気象など、私たちを取り巻く環境は、息つく間もなく変化を繰り返しております。
 こうした荒波のような時代だからこそ、しっかりとその潮流を捉え、直面する課題に真正面から向き合い、議論を進め、決断し、市民の皆様の暮らしを守る施策を実行するとともに、社会変革の先にある萩の姿を見定め、着実に前進していかなければなりません。

 萩市の将来を見据えたとき、好転させなければならない難題は、少子化の進行と、これを要因とする人口減少問題であります。
 まち全体で子どもを育てていこうとする風土を守り、誰もが安心して、子どもを産み育てやすい環境を整え、「萩市に住んで、萩市で子育てがしたい」と思えるまちづくりを推進していかなければなりません。
 このため、子育て支援策を充実させるとともに、「雇用」、「住まい」、「出生・子育て・教育環境」を3本柱に、萩市での生活を選択する若い世代を増やす取組を集中的に推進しております。

 近年、こうした施策に加え、地方移住への関心の高まりもあり、人口の社会減は抑制されつつあるとともに、若者、子育て世代の移住者が増加傾向となり、人口の社会増への反転と出生数の増加につながる明るい兆しが見えてきております。
 「志を立てて以て万事の源と為す」
 私は、いかなる難題であっても、心に決め、誠意を尽くして事に当たれば、必ず好転させることができると信じております。

 令和6年度は、私にとりまして、任期の最終年度となります。
 社会変革の渦に翻弄されることなく、山積する課題に真摯に向き合い、「現場第一主義」を基本として、市民の皆様との対話を重ね、「有言実行」の姿勢で、「5つの良し」のまちづくりの基本政策を推進し、「明るく元気な萩市」の実現を確かなものとしてまいります。

1 住んで良しのまちづくり

(復旧・復興支援と災害への備え)

 令和6年能登半島地震により被災された皆様に、改めて心からお見舞い申し上げますとともに、犠牲になられた方々とそのご家族に謹んで哀悼の意を表します。
 姉妹都市であります輪島市におかれましても甚大な被害となっており、市民の皆様のご協力をいただいております義援金をはじめ、支援物資の送付や職員派遣など、輪島市が必要とされる支援を行っているところであります。
 被災地では、今なお、多くの方々が不自由な生活を強いられておられます。
 一日も早く、日常の生活を取り戻すことができますよう、復旧・復興に向け、できる限りの支援を行ってまいる所存でございます。

 こうした災害は、決して、対岸の火事ではありません。南海トラフを震源とする大規模地震、地球温暖化に伴う集中豪雨や大型台風の襲来など、近年私たちを取り巻く災害リスクは高まっており、いつ、どこで起こるか分からない災害に、平素から備えておかなければなりません。
 このため、防災訓練の実施などにより防災意識の向上を図るとともに、大雨・津波などの警報や避難に係る情報を、いち早く正確に届ける体制の充実を図ってまいります。
 ご高齢の方や障がいのある方など、災害時に支援が必要な方の個別避難計画の作成を進め、確実に避難できる体制を構築するとともに、自主防災組織の育成により、自助・共助の意識向上を図るなど、災害時の「逃げ遅れゼロ」を目指してまいります。
 また、木造住宅の耐震化や、通学路等に面した倒壊の危険性のあるブロック塀等の除却を促進するとともに、老朽化したため池の改修などの防災・減災対策に取り組んでまいります。

(高速道路ネットワークの形成)

 能登半島地震では、各所で道路が寸断し、多数の孤立集落を発生させるとともに、救助活動はもとより、復旧・復興への大きな支障となっています。
 こうした状況を目の当たりにし、災害時にも確実に機能する代替性を備えた道路網の形成が必要であることを改めて痛感いたしました。
 特に、東西南北をつなぐ高規格道路網は、円滑な避難や人命救助を支える「命をつなぐ道」となることから、「山陰道」、「小郡萩道路」の早期全線整備とミッシングリンクの解消を、国や県に対して強力に要望してまいります。

(自分らしく生きられる社会へ向けて)

 私たちは、一人ひとりの生き方が尊重され、性的指向や性自認にかかわらず、互いに認め合える社会を創っていかなければなりません。
 このため、全ての方が自分らしく生きられるよう、同性パートナーシップ宣誓制度について検討を進めるとともに、出前講座等により性の多様性を認め合う意識の醸成を図ってまいります。

(持続可能な医療体制の構築)

 市民の皆様が地域において安心して暮らしていくために、医療は必要不可欠な社会基盤の一つであります。
 萩の医療は、医療従事者の不足と高齢化を背景に、救急医療など、これまで当たり前のように受けることができていた医療サービスを維持することさえ、危ぶまれている状況にあります。
 このため、医療人材をはじめ限られた医療資源を有効に活用し、将来にわたり医療提供体制が維持できるよう、地域医療連携の核となる中核病院づくりに取り組んでまいります。
 また、喫緊の課題となっている看護師不足に対応するため、本年4月から新たに看護師等の住宅の運営を開始し、市外からの看護師の受入環境を整備するとともに、看護学生への奨学金の給付対象者の拡大などに取り組んでまいります。

(健康の維持増進と高齢者福祉の推進)

 いつまでも健康で元気に暮らすことは、全ての方の願いです。
 萩市の健康寿命は、男性は79.6歳、女性は85.3歳となり、10年間で、男性は2.6歳、女性は2.8歳延伸いたしました。
 健康寿命の更なる延伸に向け、青壮年期からの食生活の見直し、運動の習慣化などによる生活習慣の改善や疾病予防など、それぞれの年齢に応じた健康づくりを推進してまいります。
 また、ご高齢になられても、住み慣れた地域で安心して自分らしい暮らしを続けることができるよう、引き続き、地域での「見守り・ささえあい」の仕組みづくりを進めるとともに、高齢者の移動手段の確保と利用しやすい交通環境の整備に取り組み、高齢者の外出支援と社会参加を促進してまいります。

(障がい者福祉の推進)

 昨年11月、県内初となる「全国手話劇祭」が、萩市で開催されました。指の動きに一瞬の表情を合わせ語る「手話文化」の奥深さは、言語としての手話への理解を深め、聞こえない方のミュージカルは感動も与えました。
 萩市は、我が国のろう教育に尽力した山尾庸三ゆかりの地であり、県内で初めて手話言語条例を制定した自治体であります。
 この全国手話劇祭を契機に、一層、手話の普及に取り組むとともに、引き続き、障がいの有無にかかわらず、誰もが個性を認め支え合う、共生社会の実現を推進してまいります。

(移住・定住の促進)

 若い世代や子育て世代の移住に当たっては、就労の場の確保が重要な要素となります。このため、定住総合相談窓口はぎポルトに配置しております移住就業コーディネーターによる市内企業の紹介や、テレワークによる都市部の企業と移住者とのマッチングを促進してまいります。
 また、はぎポルトを核として移住相談へきめ細かく対応するとともに、全国でも珍しい駅舎を活用したお試し暮らし住宅での萩暮らし体験や、本年3月に新たに開設いたします「移住定住情報ポータルサイト」により萩暮らしの魅力、空き家情報などを一元的に発信し、移住定住を促進してまいります。

(離島の生活機能確保)

 本土からの通勤が困難な離島においては、島内の働く世代の減少により生活に必要なサービスの提供が困難となりつつあります。
 このため、有人国境離島である見島においては、定住住宅を整備するとともに、相島では、新船フェリー「あいしま」を活用した移動販売の支援により買い物の機会を確保するなど、島民の生活を守る取組を推進してまいります。

(DXの推進)

 加速し続けるデジタル社会の中においても、全ての方がデジタル技術の恩恵を受けることができるよう、光ファイバー等の情報通信基盤の整備を推進するとともに、スマホ活用講座等を開催してまいりました。
 本年はこうした取組に加え、市民総合窓口、萩博物館、萩・明倫学舎においてキャッシュレス決済を導入するなど、行政サービスの利便性向上を図ってまいります。

2 訪れて良しのまちづくり

(萩のおたからを活用したまちづくり・観光地づくり)

 本年は、「萩まちじゅう博物館」の旗揚げから20年の節目となります。
 萩市独自の取組である、まち全体を屋根のない博物館と見立てたまちづくりと観光地づくりは、遠く離れたヨルダン王国でも高い評価をいただき、国際交流のきっかけともなりました。
 20周年に当たる本年は、萩の随所にある「おたから」を守ってこられ、その魅力を知り尽くした市民や事業者の皆様が企画される様々な体験プログラムを通じて、萩の暮らし、食、技などを五感で味わっていただける「萩まちじゅう博覧会」を開催いたします。
 「萩まちじゅう博物館で体感するゆったりじっくり観光」をコンセプトに、市内各所で同時期に展開される体験プログラムを発信し、滞在型観光の推進につなげるとともに、この取組を契機に事業者や地域の皆様と連携した観光地づくりを推進してまいります。

 また、萩まちじゅう博物館の中核施設であり、同じく開館20周年を迎える萩博物館においては、大規模な夏の特別展を開催するとともに、萩の歴史・文化・自然の再発見をコンセプトとする企画展や、萩・明倫学舎と連動した故小川忠文コレクションの企画展を、博覧会とも連携し開催いたします。
 萩の魅力の再発見はもとより、新たな交流や観光客の誘致につながるよう、まちじゅうで展開する取組を力強く推進してまいります。

(観光客の誘致とインバウンド)

 ポストコロナ時代へと移行した昨年、これまでの自粛ムードを吹き飛ばすように、四季折々のお祭りやイベントが市内各所で開催されるなど、まちに明るさと賑わいが戻りつつあることを実感いたしました。
 本年は更なる観光客誘致を推進するため、「日本酒GI萩」を絡めたナイトコンテンツの充実や、山陰本線の観光列車を活用した周遊観光の促進、新たな旅行商品の造成などに、萩・明倫学舎に集約した観光関連3団体はもとより、多様な皆様と連携し取り組んでまいります。
 また、昨年は9隻の外国客船が萩港へ入港するなど、インバウンド需要も高まりを見せております。更なるインバウンド需要に対応するため、広域DMOや近隣市町とも連携し、萩市の認知度や来訪意欲の向上に向けたプロモーションを行うとともに、パンフレットや説明板の多言語化により、外国人観光客のおもてなし向上に努め、市内周遊の促進を図ってまいります。

(萩ジオパークの推進)

 昨年、萩ジオパーク推進協議会が、西日本エリアで初めて、日本ジオパークネットワーク全国表彰を受賞いたしました。関係者の皆様のご尽力に心より感謝申し上げます。
 今後も、市民の皆様や関係自治体と一体となり、『地球の視点で「萩らしさ」が見える・伝わるまち』を目指し、ジオパーク活動の一層の深化を図ってまいります。
 また、ジオサイト周辺の環境保全や案内看板の整備を進め、多くの方々が来萩され、萩の雄大な自然の魅力を体験いただけるよう取り組んでまいります。

(地域との協働による交流促進)

 全地域で花を活用した交流促進に取り組んでおり、福栄ふるさとまつりでは、昨年も、地域の皆様と選んだ花が会場を鮮やかに彩り、物産販売や食事とともに、ご来場される皆様の楽しみの一つになってきていると感じたところであります。
 また、佐々並地区の「ヒガンバナ」を咲かせる取組と併せ、佐々並市重要伝統的建造物群保存地区の皆様が、ご自宅の軒先で「ナデシコ」の花を育て始められました。
 こうした住民の皆様の活動とも連携するとともに、一日市長室でのご意見や市政報告会、地域事業懇話会などを通じてお聴きする地域の声をしっかりと施策にいかし、引き続き、交流人口の拡大と地域課題の解決に取り組んでまいります。
 また、道の駅等の地域交流の拠点施設においても、観光案内看板、駐車場の増設などの環境整備に取り組んでまいります。

3 働いて良しのまちづくり

(地場産業の育成と人材確保)

 新型コロナウイルス感染症の5類移行後、堅調な個人消費を背景に、山口県内の景気は緩やかに回復しつつあります。萩市におきましても、個人消費の拡大や更なる需要の回復に期待感がうかがえるなど、明るい兆しもある一方、物価高騰や長引く人手不足など、市内中小企業者を取り巻く環境は厳しい状況が続いております。
 このため、中小企業者等の事業拡大やデジタル化への支援に取り組むとともに、大都市圏での物産展の出展等を支援するなど、「萩ブランド」の認知度向上と販路拡大を促進し、地域の稼ぐ力の向上に取り組んでまいります。
 また、全業種で課題となっている人手不足の解消を図るため、本年も市内の企業の魅力を高校生に知ってもらう合同企業説明会を開催するとともに、「地域活性化に向けた雇用促進と定住促進に関する協定」を締結した株式会社リクルートと協働し、求人情報の発信力強化による企業等の採用力向上を支援してまいります。

(力強い農林水産業の推進)

 物価の高騰などの影響に加え、進行する人手不足から、萩市の農林水産業を取り巻く環境は厳しさを増しています。
 こうした現状を好転させ、元気で力強い農林水産業を取り戻し、次世代への継承を実現するための施策を進めてまいります。
 農業におきましては、農産物の持続的な生産を目的に、農業の環境負荷低減に向けた取組の方向性を検討してまいります。
 また、大きな課題の一つである担い手や後継者の不足につきましては、経営の不安定な就農初期段階の経済的支援やサポート体制の強化を図り、農業に意欲のある若者や移住就農者など多様な担い手の確保と定着を促進してまいります。
 このほか、有害鳥獣による農林産物への被害防止対策として、引き続き、捕獲による対策を推進するとともに、地域との協働により鳥獣を人里に近づけない被害予防にも取り組んでまいります。

 林業におきましては、次世代まで幸せになる林業を目指し、森林団地の形成と林業経営体や担い手の育成に努め、森林環境譲与税を効果的に活用しながら、適切な森林経営管理と循環型林業を推進してまいります。
 また、住宅建築における地域産木材の利用促進や、持続可能なエネルギーとしての木材の活用を図るなど、多くの方が森林や木材を身近に感じる機会を創出してまいります。

 水産業におきましては、漁業者の所得向上と担い手の確保を図るため、魅力ある新商品の開発や販路拡大、活締めなど高鮮度出荷等に取り組むとともに、旬の地魚がおいしいまち・萩の認知度を高めることにより、消費拡大を促進してまいります。
 また、効果的な栽培漁業の促進、藻場の保全・回復など、水産資源の保護と育成による持続可能な水産業の実現を目指してまいります。

4 学んで良しのまちづくり

(志教育の深化)

 本年1月、オリンピック3大会のメダリスト石川佳純さんをお招きし、中高生を対象にご講演いただきました。メダリストからの未来を切り拓こうとする青少年へ向けたメッセージは、「覚悟」と「感謝」の言葉に象徴されるものであったと思います。
 萩市の「志教育」も、自分にふさわしい生き方を実現しようとする意欲や能力を養うとともに、郷土への誇りと愛着を育むものであり、その理念には同様の思いが込められています。
 複雑で変化に富んだ時代にあっても、自分の進むべき道をしっかりと見定められるよう「志教育」の更なる深化に努めてまいります。
 また、ICTを活用した遠隔授業により多様な考えに触れる機会を設け、物事を多角的に考える力を養うとともに、英語教育の充実に努め、学力の向上を目指してまいります。

(教育環境の充実)

 昨年、市職員の資質向上を図るセミナーも開催いただきました、東京大学の鈴木寛(ひろし)教授が主宰する「すずかんゼミ」と連携した「萩探究部」は、萩ならではの学びのコミュニティとして、教育誌で特集されるなど、全国から注目されています。引き続き、高校生がチャレンジできる環境を整え、同世代や地域との関わりを通じて、主体性や実行力の向上を図ってまいります。
 また、市内高等学校への進学率向上を図るため、女子寮に加え、本年4月から、新たに男子寮の運営と市内下宿費の支援を開始し、萩の高校で学びやすい環境を整えてまいります。
 さらに、児童生徒が一日の大半を過ごす学校施設におきましては、理科室などの特別教室の空調設備の整備に取り組むなど、教育環境の改善を推進してまいります。

(部活動の地域移行)

 昨年、青山学院大学陸上部と連携した中学校部活動の地域移行とスポーツによるまちづくりの取組が、スポーツ庁の「スポまち!長官表彰2023」を受賞いたしました。
 こうした高い評価をいただきました中学校の部活動の地域移行につきましては、地域での実施が可能な部活動から移行するとともに、指導者との調整役を担うコーディネーターを配置する実証事業に取り組むなど、まずは休日部活動の円滑な地域移行を進めてまいります。
 また、指導者の確保に努めるとともに、関係団体や学校、家庭、地域などの皆様と連携し、子どもたちが希望する部活動を選択できるよう取り組んでまいります。

(芸術・文化の振興)

 文化や芸術は、心豊かな暮らしや社会の形成に欠かせないものであります。
 文化意識の高揚等を目的として始めた市役所ロビーコンサートは、出演者の皆様のご尽力により、これまで28回開催し、延べ2,000人を超える方にご来場いただきました。身近な場所で演奏を楽しめることに加え、出演者の皆様の意欲向上にもつながると好評をいただいております。
 引き続き、「ふれ愛ギャラリー萩ぶらっと」の積極的な活用と併せ、文化や芸術に触れる機会と発表する機会の創出に取り組んでまいります。

(スポーツの振興)

 第100回東京箱根間往復大学駅伝競走大会では、萩市のスポーツ指導者育成にご支援いただいている原晋監督が率いる青山学院大学が、圧倒的な強さで優勝されました。
 原監督とのご縁から、箱根駅伝の感動が収まらない1月に開催いたしました萩市駅伝競走大会では、萩城下町マラソンに続き、優勝に大きく貢献をされた選手2名に疾走いただきました。その素晴らしい走りに、沿道からは大きな歓声が飛び交い、一緒に走られた中高生や市民ランナーには、大きな刺激になったことと思います。
 こうした機会は、競技者の意欲の向上につながることから、引き続きトップアスリートによるスポーツ教室等を開催するとともに、スポーツ指導者養成研修の充実に努め、指導技術と競技水準の向上に積極的に取り組んでまいります。

5 育てて良しのまちづくり 

(人の繋がりによる子育て支援)

 雪の朝も、市内各所から、子どもたちと見守り隊の皆様の元気なあいさつが聞こえてきます。こうした風景一つにも、萩市では子どもたちを地域全体で見守りながら、共に育てようとする風土が息づいていることを感じます。
 子どもたちは、ご家族にとってはもちろんのこと、地域にとっても、萩市の未来にとっても、かけがえのない存在です。地域のあたたかい思いとともに、子どもを望まれる全ての方が安心して、産み、育てられる「日本一子育てしやすいまち・萩」の実現を目指してまいります。

 特に妊娠期から子育て期は、誰しも楽しみとともに様々な不安も抱くものです。この不安を抱えたままにさせない、孤立を感じさせない、私たちは、こうした環境を作っていかなければなりません。
 このため、妊娠期から子育て家庭に寄り添う伴走型相談支援に引き続き取り組むとともに、多くの相談を受け、不安解消の場として定着した子育て世代包括支援センターHAGUの更なる相談体制の充実を図ります。
 また、初めての育児の不安を解消する教室では、担当する保健師がプログラム運営の専任資格を取得し、より円滑な親子の絆づくり、ママ友づくりを促進するなど、人の繋がりによる子育て環境の充実を図ってまいります。

(子どもたちの居場所づくり)

 全ての子どもたちが安全で安心して笑顔で過ごせる居場所も必要です。
 家庭や学校に加え、子どもたちが自由に過ごせる新たな地域の居場所づくりを支援するとともに、保育所、放課後児童クラブ、児童館などにおいて、安定的にサービスが提供できるよう、運営体制の充実を図ってまいります。
 また、民間保育所における、誰もが一緒に遊べるインクルーシブ遊具の整備を支援してまいります。

(子育て世帯の負担軽減)

 昨年から公立保育所で開始いたしました使用済みおむつの処分は、保護者の皆様から喜ばれており、民間保育所における同様の取組を支援したところであります。
 また、これまでの不妊症の治療等に係る助成、出生や多子世帯を応援する祝金、小中学校給食費無償化などを引き続き実施するとともに、新たに所得の低い妊婦の初回産科受診費用の助成や、多胎妊婦の健康診査費用の追加助成に取り組み、経済的な負担軽減も図ってまいります。

おわりに

 令和6年度の予算概要について申し上げます。
 令和6年度の一般会計当初予算額は、308億2,200万円で前年比3.1%増となり、特別会計を含めた当初予算の総額は、455億9,650万円となり前年比1.9%増となっています。
 今後も、国、県等の補助金を確保するとともに、市債、基金を有効に活用し、積極的なまちづくり施策を展開しつつ、健全な財政運営に努めてまいります。
 また、行政運営に当たっては、多様化する課題へ対応するため、研修等による職員の能力向上や計画的な採用等に努めるとともに、庁舎機能の課題解消等を図る分庁舎の整備や電子決裁の導入などにより、行政事務の効率化を図ってまいります。
 以上、令和6年度の市政運営と所信について申し述べました。

 昨年、生まれ育った萩への思いや誇り、将来の萩市へ向けた提言を堂々と語る子どもたちに出会いました。
 「長州ファイブジュニア」と「子ども議会」の中学生たちであります。
背筋を伸ばし、まっすぐに前を見る、子どもたちの真剣で純粋な眼差しと、ふるさと萩への思いを強く持つ子どもたちが育っていることに感動したことを、今もはっきりと覚えています。

 私は、市民の皆様の今の暮らしを守るだけでなく、この希望溢れる子どもたちが花を咲かせられる未来の萩市を創っていかなければならないと、改めて決意したところであります。

 明るく元気な萩市を創るべく、真摯に課題と向き合い、発展的な議論を交わし、誠心誠意、全力で市政運営に邁進してまいりますので、今後とも、議員の皆様をはじめ市民の皆様の格別のご理解、ご協力を心からお願い申し上げます。