大屋観音橋 (おおやかんのんばし)

■市報はぎ 平成7年(1995)2月15日号掲載



 観音橋は、椿大屋の大屋川に架かる橋で、萩城下から山口・三田尻(現在、防府市)に至る旧萩往還にあります。江戸時代には、参勤交代の行列や多くの旅人たちの通行路として賑わいを見せました。現在も、橋のたもとには「左山口・小郡道、右河内・木間道」と刻まれた道標が立てられています。また、「観音橋」と彫られた石造の親柱も残っています。
 弘化2年(1845)の『防長風土注進案』によると、当時の橋は石造(『八江萩名所図画』では木橋)、長さ5間5尺(約10.5メートル)、幅2間2尺(約3.6メートル)で、修理や架け替えは藩の御木屋方が担当しました。『八江萩名所図画』に見られるように、橋を渡ると大屋市の集落で、妻入様式の家屋が軒を連ねています。これらの家々では、旅人相手の商売を営んでいたものと思われます。現在では随分さびれてしまいましたが、それでも往時をしのばせる家屋が所々に残っています。
 現在の橋はコンクリート造り、長さ16.3メートル、幅4.04メートルで、橋の下には今でも石造の観音像がまつられています。
※御木屋方・・・材木及び作事・植樹等を管掌する役所。