萩 橋 (はぎばし)

■市報はぎ 平成7年(1995)6月15日号掲載



 萩橋は松本川の下流に架かり、土原と新川とを結んでいます。JR東萩駅前にあり、しかも国道191号となっているので、交通量の多い橋です。昭和8年(1933)2月山陰本線が全通し、同年3月23日省営バスが山口・東萩駅間の営業を開始し、陰陽を結ぶ三田尻(防府市)・東萩駅間のバス路線が全通しました。萩市にとって、このような交通上の大変革と軌を一にするかのように、翌日24日に萩橋が開通しました。
 萩橋は官設ではなく、厚東常吉が出資した民設の橋です。厚東常吉は、県会議長・衆議院議員・萩商工会議所会頭などをつとめた政治家であり、実業家です。架橋に反対していた市民の1人は、落成前にこっそり渡り、「これに来るにゃどひょうし近うなって便利じゃ」と驚き、反対説を取り消したというエピソードも伝えられています。それまで東萩駅へ行くには、雁島橋か松本橋を渡って迂回しなければならず、萩橋の開通が市街地の交通の円滑化に果たした役割の大きさがうかがい知れます。昭和13年厚東常吉は橋を萩市に寄付し、昭和23年鉄筋コンクリートに架け替えられ、さらに昭和44年には拡幅工事が完成し幅16メートルとなりました。
 ところで、10数年前から萩橋の下にイワツバメが営巣するようになりました。イワツバメはツバメよりも小型で、飛んでいるとき腰の白い部分が目立ちます。餌を求めて飛び立つ早朝と、巣に帰ってくる夕方には、橋の近くをたくさん飛んでいるのが見られます。